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2026-10-18 のダイジェスト

2026-10-18

本日はサイエンス5件:MYCを狙うde novo設計バインダー、BPTFの二価阻害剤、RAB27A大環状ペプチド、ポテンシー外挿のペアワイズQSAR、ベンゾジアゼピン系抗マラリア薬。業界ニュースはLakefrontが手放したCAR-T事業をストッフェルス氏の新会社Armed Cellが引き取った1件です。

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メドケム

4件

3H-1,5-ベンゾジアゼピン誘導体がマイクロモル域の抗マラリア活性、標的候補にPfSET3

  • 3H-1,5-ベンゾジアゼピン18種を合成し、クロロキン感受性・耐性の熱帯熱マラリア原虫で評価、HepG2毒性で初期の選択性を確認した。
  • 複数の化合物が低マイクロモル域で活性を示し、最も強力な化合物と選択性に優れる化合物は別だった。
  • 主要2化合物はヒトG9aへの阻害は弱く、ドッキング・MM-GBSA・MDで原虫PfSET3への結合を推定した。
💡 ポイント

低マイクロモルの細胞活性で選択性の幅も狭いなら、まだリードではなく出発点だ。標的の主張はドッキングに依存しており、仮説の域を出ない。原虫のエピジェネティック酵素を狙う珍しいケモタイプという点は面白い。次はPfSET3の生化学アッセイと、選択性に優れた化合物周りのSAR展開を見たい。

3H-1,5-Benzodiazepine Derivatives as Novel Antimalarial Agents: Synthesis, Biological Evaluation and Computational Target Exploration ↗

BPTFのヒストンコード認識を手がかりに、ペプチド–低分子二価阻害剤を設計

  • BPTFのPHD–ブロモドメインはH3K4me3とK14アセチル化の組合せを認識し、結晶構造で確認された。両者はシス配置を含め協調的に読み取られる。
  • リガンド結合に伴う二つのリーダードメイン間の構造変化を、実験的に初めて示した。
  • この知見から、両ドメインを阻害するペプチド–低分子コンジュゲートMJ-1を設計し、PHDフィンガーの標的化しにくさに対処した。
💡 ポイント

BPTFのブロモドメイン結合剤は多くが追ってきたが成果は限られ、難所はPHDフィンガーのほうだ。ペプチドから親和性を借りる二価設計は現実的な手だが、ペプチド・コンジュゲートは細胞膜透過性のあるリードには程遠い。どちらの半分が活性を担うのか、低分子だけで成立するのかを知りたい。

Bivalent Inhibitor Development for a Dynamic Epigenetic Tandem Reader Protein Using a Combinatorial Histone Code ↗

MYCの天然変性領域に結合するde novo設計タンパク質が腫瘍増殖を抑制

  • 保存されたエピトープ(がん化活性に必要な天然変性モチーフを含む)を狙ってMYC結合タンパク質を設計した。
  • in vitroで強く結合し、細胞内ではMYCに作用してMAXとの会合を阻害し、MYC関連複合体の構成を変えた。
  • 血液・肝・膵・患者由来など複数のMYC依存性モデルで増殖が低下し、膵がん同所移植モデルでは結合体発現細胞が選択的に減少した。
💡 ポイント

MYCには低分子が入るポケットがないので、設計タンパク質で無秩序領域のエピトープを狙う発想は理にかなう。ただし細胞内発現で効いたことは送達の問題を何も解決しておらず、まずは標的バリデーション用の道具と見るべきだ。低分子のPPI阻害やデグレーダーがどこを狙えばよいかを示す地図としては価値がある。

MYC targeted de novo binders impair tumor growth ↗

mRNAディスプレイ由来の大環状ペプチドIMP2660が、エフェクター非存在下のRAB27A構造解析を可能に

  • RAB27Aのエフェクター結合面を標的にmRNAディスプレイを行い、大環状ペプチドのヒットを得て最適化し、IMP2660に到達した。
  • IMP2660はRAB27Aに強く結合し、RAB27A–エフェクター相互作用を阻害する。
  • 活性型RAB27Aとの共結晶構造をエフェクターなしで取得でき、エフェクター結合面の構造ベース設計の足場になる。
💡 ポイント

見過ごされがちな成果は結晶化シャペロンとしての価値だ。野生型RAB27Aはエフェクターとの複合体でしか結晶化できなかったので、マクロ環結合構造が得られればソーキングやフラグメント研究が回せる。ただIMP2660が道具を超えるかは別問題で、細胞内GTPaseを狙う大環状ペプチドの膜透過性が最大の壁になる。

A potent macrocyclic peptide binder enables effector-free crystallization of the GTPase RAB27A ↗

💻

計算・AI創薬

1件

ペアワイズ差分QSAR+分位点集約で、既知のポテンシーを超える予測を狙う

SAR・リード最適化AI・機械学習ケモインフォマティクス
  • 通常のQSARは訓練データより高活性な類縁体の予測が苦手で、これがまさにリード最適化の核心である。
  • 化合物ペア間の記述子の差から活性変化を学習するPD-QSARを提案し、予測を集約して用いる。
  • ChEMBL由来の約100標的で最高活性側を検証用に除外したところ、低分位点集約が平均・kNN集約、直接QSAR、Chempropを上回った。
💡 ポイント

モデルが系列内の順位付けはできても、本当に必要な高活性側で外す、というのは最適化チームの共通の悩みだ。最高活性の上位10%を除外する検証は筋が良い。ただ公開ChEMBLの分布と実際のプロジェクトのSARの崖は違うので、合成の優先順位づけに使う前に自分たちの系列で前向きに試したい。

Breaking the Potency Barrier: A Practical Recipe for QSAR Extrapolation ↗

🏢

業界ニュース

1件

Lakefront、開発を断念したCAR-Tパイプラインをストッフェルス氏率いるArmed Cellへ売却

  • 旧Galapagosのラクフロント(Lakefront)は、断念した細胞治療プログラムを、元CEOのポール・ストッフェルス氏が共同設立・会長を務めるベルギーの新会社Armed Cell Therapeuticsに売却する。
  • 報じられた条件は、数百万ユーロ規模の少額の一時金と最大約2億3,000万ドルのマイルストーン。
  • 対象は、非ホジキンリンパ腫と小細胞肺がんを狙い臨床入り間近の2つの「アームドCAR-T」と、初期前臨床の3プロジェクト。
💡 ポイント

前臨床で他に買い手のつかなかった資産に対し、一時金は小さくマイルストーンの裾野を長くとるのが典型的な値付けだ。リスクはArmed Cellが負い、Lakefrontはコストなしでオプションを残す。Lakefrontにとっては自己免疫領域のT細胞エンゲージャーへの転換が鮮明になった形だ。注目点は、CAR-T路線を始めた本人が率いる新会社が臨床資金を集められるかどうかである。

Rebranded Galapagos finally finds buyer for unwanted cell therapy pipeline ↗