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2026-10-09 のダイジェスト

2026-10-09

本日はサイエンス6件:ULK1選択的PROTAC、臨床開発可能なPERK阻害薬、吸入sGC刺激薬、経口POLQ阻害薬、ドッキングと結晶構造数の検証、スルホニウム修飾エキノキャンディン。業界ニュースはRocheの分子糊薬提携、MerckのKeytruda皮下製剤をめぐる差止め、Forbionの26億ドルのファンド組成の3件です。

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メドケム

6件

ポーズ予測の精度は、骨格あたり結晶構造約5個で頭打ちに

  • オープンサイエンスのCOVID Moonshotによる403件のSARS-CoV-2主プロテアーゼ構造を用い、新規結晶構造をいくつ取得する価値があるかを検証した。
  • 類似リガンドの参照構造が最良のポーズ予測を与え、成功率はBemis-Murcko骨格あたり約5構造で頭打ちとなり、リード系列では95%を超えた。
💡 ポイント

構造生物学に具体的な予算の目安を与える結果で、骨格あたり約5構造を超えると、追加のソーキングがポーズ予測に与える利得は小さい。ただしMproは剛直で扱いやすいポケットなので、柔軟なキナーゼや誘導適合型の標的にこの数字をそのまま当てはめるべきではない。

How Many Crystal Structures Do You Need to Trust Your Docking Results? ↗

物性駆動設計で吸入sGC刺激薬frespaciguatを創出、COPD合併肺高血圧向け

  • 経口sGC刺激薬は全身性低血圧や換気血流不均衡の悪化を招き得るため、肺に局在させる設計が求められた。
  • SARとPKの検討から、高い全身クリアランスと低い膜透過性が肺選択性の鍵と判明した。
  • 化合物15(frespaciguat、MK-5475)は極めて強力で標的結合滞留時間が長く、吸入後の非結合型肺/血漿曝露比は200倍超。ラット慢性低酸素モデルで有効性を示した。
💡 ポイント

高クリアランス・低透過性をあえて狙う設計は経口薬の発想と逆で、吸入剤プログラムに有用な指針となる。滞留時間と肺内保持の組み合わせが、ヒトで治療域として再現するかを確認したい。

Frespaciguat (MK-5475): A Novel Inhaled Soluble Guanylate Cyclase Stimulator for Pulmonary Hypertension Associated with COPD ↗

親油性を管理した最適化でPERK阻害薬APL-11056に到達

  • 文献由来で活性は中程度ながらキナーゼ選択性とPKに優れるPERK阻害薬を出発点に、log DとLLEを指標にリード最適化を進めた。
  • その結果、強力かつ選択的で、生体内PKに優れるPERK阻害薬APL-11056(化合物49)が得られた。
  • 高い膜透過性は、コアのベンズアミドのα位にあるフッ素と関連しており、排出トランスポーターによる認識を抑えていると考えられる。
💡 ポイント

活性を追うのでなくLLEでSAR全体を導いた姿勢が読み解きやすさを生んでいる。ベンズアミドα位のフッ素で排出を回避する手法は、自分のアミド系列にも使えそうだ。PERKのISR生物学は過去に阻害薬を苦しめた経緯があり、PK表よりも忍容性データが重要になる。

Discovery of a Protein Kinase R-like Endoplasmic Reticulum Kinase (PERK) Inhibitor Suitable for Clinical Progression ↗

経口POLQポリメラーゼ阻害薬、オラパリブ併用でBRCA2欠損腫瘍を退縮

  • POLQはマイクロホモロジー媒介末端結合を担い、相同組換え修復欠損がんで合成致死の標的となる。
  • 弱い生化学的ヒットの最適化によりベンゾイミダゾール/プリン系阻害薬が得られ、化合物37は強力・選択的で経口活性を持つ。
  • BRCA2欠損DLD-1細胞で増殖抑制とオラパリブの増強を示し、HR正常細胞では効果なし。オラパリブとの慢性経口投与で異種移植腫瘍が退縮した。
💡 ポイント

経口で、しかもHR欠損環境に選択的なポリメラーゼ阻害薬は、この標的に欠けていたものだ。HR正常細胞で効かないという対照が要となる。次は耐性と、ヘリカーゼ領域を狙うアプローチとの比較を見たい。

Discovery of a Novel Series of Benzimidazoles/Purines as Potent, Selective and Orally Active Inhibitors of the DNA Polymerase Activity of POLQ ↗

スルホニウム修飾ペネモカンジンがクリプトコッカスの自然耐性を克服

天然物感染症
  • 天然物pneumocandin B0骨格への共有結合的なスルホニウム修飾により、Candidaに有効で、Cryptococcus neoformansの自然耐性も覆す誘導体が得られた(MIC最小2 μg/mL)。
  • 修飾は真菌膜の透過性を高めて脱分極を起こし、グルカン合成酵素の阻害も強めた。
  • 化合物3hと5hは耐性獲得リスクが低く、安全性とPKも良好で、生体内でも抗真菌効果を示した。
💡 ポイント

エキノキャンディンはクリプトコッカスに効かなかったため、膜に作用するカチオン性基を足して活性を戻すのは、検証済み骨格の巧みな再利用だ。膜破壊は選択性の幅を狭めるリスクがあるため、宿主細胞毒性と作用機序の寄与配分を精読したい。

Sulfonium Modification of Echinocandins: An Effective Strategy to Combat Intrinsically Resistant Cryptococcus via Membrane Disruption and Enhanced Cell Wall Biosynthesis Inhibition ↗

ULK1選択的PROTAC、阻害薬より長くオートファジーを抑制

  • ATP競合型阻害薬ではULK1とほぼ同一のULK2を見分けにくいため、セレブロンを動員する分解誘導剤が設計された。
  • 構造指導型の最適化でMR-9036が得られ、ULK2やIMiDのネオ基質に影響せずULK1のみを分解する。三者複合体形成とプロテアソーム依存性も確認された。
  • 化合物除去後も、臨床段階のULK1/2阻害薬DCC-3116より長くオートファジー抑制が持続し、KRAS G12C変異NSCLCモデルで抗腫瘍効果を示した。
💡 ポイント

パラログ間の選択性は、占有率駆動の薬剤に対して分解誘導剤が優位に立てる領域で、これはその好例だ。次に見たいのは、生体内でULK2の代償が起きるか、そして実際の薬物曝露下でも洗い流し後の持続性が保たれるかである。

Discovery and Optimization of Isoform Selective ULK1 Degraders to Enhance Antitumor Activity in KRAS-Mutant Cancer ↗

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業界ニュース

3件

Roche、中国Defand Therapeuticsと分子糊薬の創薬提携

  • STATによると、Rocheは中国のバイオテクDefand Therapeuticsと、分子糊薬に焦点を当てた創薬契約を結んだ。
  • STAT+記事の公開部分のみ確認できたため、金額条件や標的は未検証。
💡 ポイント

Rocheは単一プラットフォームに賭けず分子糊薬のパートナーを増やし続けており、中国バイオテクからの調達は広いライセンス潮流とも合う。契約一時金やマイルストンが不明な現時点では、創薬初期のオプション取得と捉え、標的の数と中身が本当のシグナルになる。

STAT+: Roche inks drug discovery deal with Chinese biotech, focused on molecular glue medicines ↗

Forbion、過去最大の26億ドルを調達、欧州でも近年最大級

  • STATによると、欧州のベンチャーキャピタルForbionが過去最大となる26億ドルを調達した。
  • 同地域でも近年最大級とされるが、ファンド構成や配分は公開部分では確認できなかった。
💡 ポイント

専門投資家によるこの規模の調達は、資金環境が不安定でもLPがバイオ創業を支えていることを示し、欧州スタートアップに厚みのある地元の資金源を与える。創業初期への配分と後期ラウンドの比率、米国志向の創業者を欧州上場へ引き寄せるかが注目点だ。

STAT+: Forbion raises $2.6 billion, its largest fundraise to date ↗

オランダの裁判所、MerckのKeytruda皮下製剤の欧州複数国での製造・販売停止を命令

  • STATによると、オランダの裁判所はMerckに対し、Keytruda皮下製剤の欧州複数国での製造と販売を停止するよう命じた。
  • 公開部分のみ確認できたため、原告、根拠、適用範囲は未検証。
💡 ポイント

皮下Keytrudaは、ペムブロリズマブのバイオシミラー時代に向けたMerckの主要な防衛策であり、欧州での遅れはライフサイクル計画に直撃する。見出しより、命令の期間と控訴での覆りの有無が重要になる。皮下製剤特許をめぐる広い争いとも重なる案件だ。

STAT+: Merck suffers a setback in Europe over its new Keytruda formulation ↗